主な疾患
抜毛症
抜毛症は自分で自分の髪の毛などを抜いてしまう、無意識に抜く、自分でやめたいと思いながらも繰り返してしまう病気です。小学生から高校生に多く見られ、自然に治る場合も多いですが、見た目に目立ってしまうと人前に出たくないなど日常生活に支障をきたしてしまいます。

【具体例】
13歳、女児。幼いころから内気な性格でした。中学に入ってからも友人ができず、放課後はまっすぐ帰宅していたため、時間を持てあましていました。いつの間にか、髪の毛を抜くことが癖になり、家族から指摘されてもやめられなくなりました。やがて頭皮が透けて見えるほど髪の毛がなくなり、学校ではヒソヒソと陰口を言われます。校則で帽子を被ることも許されず、不登校になってしまいました。家族に連れられて精神科を受診すると「抜毛症」と診断されました。
【特徴】
毛髪を引き抜くこと(抜毛)をやめられない障害です。自分自身でやめようと思っても、どうしても繰り返してしまいます。よく見られる部位は、髪の毛、眉毛、まつげで、比較的少ない部位は、わき、顔、陰部、肛門周辺です。
抜毛は、1日の中で短時間行われることもあれば、何時間も続くこともあります。
本人はほどんど無自覚に、自動的に抜毛することもあります。
【有病率】
一般人口(成人と青年)における12カ月の有病率は、推定1~2%です。男女比は、約10:1の割合で女性に多く見られます。女性の方が多いのは、髪の毛のないことの社会的ダメージが大きく、積極的に受診するためとも考えられています。
子どもの患者さんの場合は、男女差がありません。
【経過】
発病平均年齢は10代前半ですが、人生の後半での発病も報告されています。経過は、慢性的になる人と、軽快する人がいます。1年またはそれ以上の期間にわたり治療を受けた患者さんの約3分の1が軽快しますが、20年以上も続く場合もあります。13歳以降の発病は慢性的になりやすいと考えられています。未治療の場合には、寛解と増悪を繰り返す場合があります。
女性の場合は、ホルモン変化(月経や閉経周辺)に伴って症状が悪化しやすいと言われています。
【治療】
精神科医と皮膚科医の連携が必要です。精神皮膚疾患の治療に用いられてきた治療法としては、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用薬、抗ヒスタミン特性を持つ抗不安薬、SSRIなどの抗うつ薬、そして抗精神病薬があります。うつ病があってもなくても、抗うつ薬によって皮膚症状の改善を認めるとされています。
主な疾患
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うつ病
誰もが耳にしたことがあると思われる代表的な病気です。憂鬱な気持ちや意欲が出ないことが続いていませんか?
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双極性障害(躁うつ病)
うつ状態だけでなく、極端に調子がよくなって活発な期間がある方は躁うつ病の可能性があります。うつ病とは治療が異なるので注意が必要です。
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統合失調症
悪口を言われる、狙われているといった幻聴や妄想などを症状とする病気です。100人に1人くらいの割合でみられます。
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認知症
物忘れ、新しいことが覚えられない、判断力の低下などにより日常生活に支障をきたす病気です。
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適応障害
強いストレスを受け続けると様々な心身の症状が出ることがあります。
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自律神経失調症
自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)が不調をきたすことで様々な心身の症状が出ることがあります。
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不眠症
なかなか寝付けない、何度も目が覚めるなど睡眠の問題で苦しんでいませんか?
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パニック障害
場所と時間を選ばず、突然パニック発作が生じ、日常生活に支障をきたす病気です。
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強迫性障害
強迫観念と言われる強い不安感を打ち消すための行動により、日常生活に支障をきたす病気です。
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身体表現性障害
いくら検査しても病気が見つからないにも関わらず身体症状が持続し、日常生活に支障をきたす病気です。
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社交不安障害
会議や発表など注目を浴びる場面の時に強い不安感や身体症状が出ることで日常生活に支障をきたす病気です。
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発達障害(自閉スペクトラム症)
臨機応変な対人関係や、自分の関心・やり方・ペースが崩れることが苦手な特性を持つ発達障害のひとつです。ごく軽度から重度まで特性の程度は様々です。
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重ね着症候群
自閉スペクトラム症が基底障害にあり、二次障害として様々な症状や病気を生じている状態です。
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注意欠如多動症(AD/HD)
子供では多動や衝動性が目立ち、成人では不注意症状で困る方が多いです。発達障害のひとつで、近年注目度が増している病気です。
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学習障害
知能は正常にもかかわらず、特定の部分の学習が極端に苦手な特性をもつ発達障害のひとつです。知能が正常であるため気がつかれにくいようです。
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分離不安
母親などの愛着対象から離れることに対して、年齢と不相応に強烈な不安を感じる状態です。
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愛着障害
養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態です。
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場面緘黙症
家などでは普通に話すことができるのに、学校などの「特定の場面」で声を出すことができない状態が続くことです。
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抜毛症
子どもに多く、自分で自分の毛髪を抜いてしまいます。
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チック症
子どもに多く、意図せずに声が出てしまったり、不規則な動きが出てしまう病気です。