主な疾患

チック症

チックは小児期ではまれな疾患ではありません。しかも多くのチックは成人するに伴い自然に治癒する傾向があります。チックとは突発的、急速、反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものをいいます。

チックについては、かつては対人関係や親子関係における心理的葛藤が問題視されて、心理療法や精神療法が治療の主体であった時期がありました。

しかし、重症のチックを発症する家系(トゥレット症候群)があることが知られるようになったことなどから、最近では脳の機能的障害として遺伝的側面も検討されるようになり、特に脳内ドーパミン受容体トンの関連が注目されています。

しかしながら、チックは本人が受け止めようとするとかえって増強したり、ピアノの発表会などの緊張場面で強まることがあるのは確かで、チックは心理状態に影響されやすい疾患でもあります。またチックを発症する小児の母親が神経質で過干渉という印象を与えることも少なくありません。

【症状】
チックの種類は運動性チックと音声チックに分けられます。

運動性チック:顔面のチックはまばたきや口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動きなどがあり                 ます。頸部では頭をねじったり、前屈、あるいは後屈させたり、1回転させるなどです。肩では、ぴくっとさせたり、肩をすぼめたりします。体幹ではそらせたり、ねじったりします。

音声チック:音声チックでは咳払いがもっとも多く、その他単純な音声、複雑な発声、汚言(バカ、死ね、くそババア、卑猥な言葉)などがみられます。

【種類】
チック症・トゥレット症候群
一般的にチック症・トゥレット症候群では以下のような症状が現れます。

・音声チック
「アッ」「ウッ」などの声が出る。「フンフン」と鼻をならす。「んっ、んっ」と咳払いする。
奇声を発する、卑猥な言葉や「バカ」「死ね」などと言う。相手の言葉の語尾を繰り返す。自分で言った言葉を繰り返す。

・動作性チック
筋肉がピクンと動く。口のまわりをなめる。頻繫にまばたきをする。顔をしかめる。肩をすくめる。ジャンプする。片足をひきずる。物に触る。口をあける。

・トゥレット症候群
複数の動作性チックと音声チックを伴い、症状が1年以上続くものをトゥレット症候群と呼びます。

【原因】
原因は確定していませんが、基底核におけるドーパミン系神経の過活動仮説が提唱されています。また双生児研究などから、遺伝的要因も関与していることも示唆されています。

【治療】
チックは本人、家族および周囲の人にその症状を理解してもらい、チックの症状が出てもことさら気にせず、日常生活が円滑に行えるようにすることが大切です。
チックが心理的葛藤で生ずるという考え方は主流ではなくなりましたが、心理療法、行動療法が行われる場合もあります。

チックは基本的に薬物療法の対象とならない疾患ですが、しばしばの音声チック、多彩な運動性チック、あるいはその両方を認め、学校・家庭での生活が障害される場合、つまり音声チックが授業を妨げたり、本を読むことが全身性チックのために困難だったり、学校で汚言が出ることが心配で登校拒否になったりした場合は、少量の抗精神病薬が有効となるケースもみられます。

主な疾患

  1. うつ病

    うつ病

    誰もが耳にしたことがあると思われる代表的な病気です。憂鬱な気持ちや意欲が出ないことが続いていませんか?

  2. 双極性障害(躁うつ病)

    双極性障害(躁うつ病)

    うつ状態だけでなく、極端に調子がよくなって活発な期間がある方は躁うつ病の可能性があります。うつ病とは治療が異なるので注意が必要です。

  3. 統合失調症

    統合失調症

    悪口を言われる、狙われているといった幻聴や妄想などを症状とする病気です。100人に1人くらいの割合でみられます。

  4. 認知症

    認知症

    物忘れ、新しいことが覚えられない、判断力の低下などにより日常生活に支障をきたす病気です。

  5. 適応障害

    適応障害

    強いストレスを受け続けると様々な心身の症状が出ることがあります。

  6. 自律神経失調症

    自律神経失調症

    自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)が不調をきたすことで様々な心身の症状が出ることがあります。

  7. 不眠症

    不眠症

    なかなか寝付けない、何度も目が覚めるなど睡眠の問題で苦しんでいませんか?

  8. パニック障害

    パニック障害

    場所と時間を選ばず、突然パニック発作が生じ、日常生活に支障をきたす病気です。

  9. 強迫性障害

    強迫性障害

    強迫観念と言われる強い不安感を打ち消すための行動により、日常生活に支障をきたす病気です。

  10. 身体表現性障害

    身体表現性障害

    いくら検査しても病気が見つからないにも関わらず身体症状が持続し、日常生活に支障をきたす病気です。

  11. 社交不安障害

    社交不安障害

    会議や発表など注目を浴びる場面の時に強い不安感や身体症状が出ることで日常生活に支障をきたす病気です。

  12. 発達障害(自閉スペクトラム症)

    発達障害(自閉スペクトラム症)

    臨機応変な対人関係や、自分の関心・やり方・ペースが崩れることが苦手な特性を持つ発達障害のひとつです。ごく軽度から重度まで特性の程度は様々です。

  13. 重ね着症候群

    重ね着症候群

    自閉スペクトラム症が基底障害にあり、二次障害として様々な症状や病気を生じている状態です。

  14. 注意欠如多動症(AD/HD)

    注意欠如多動症(AD/HD)

    子供では多動や衝動性が目立ち、成人では不注意症状で困る方が多いです。発達障害のひとつで、近年注目度が増している病気です。

  15. 学習障害

    学習障害

    知能は正常にもかかわらず、特定の部分の学習が極端に苦手な特性をもつ発達障害のひとつです。知能が正常であるため気がつかれにくいようです。

  16. 分離不安

    分離不安

    母親などの愛着対象から離れることに対して、年齢と不相応に強烈な不安を感じる状態です。

  17. 愛着障害

    愛着障害

    養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態です。

  18. 場面緘黙症

    場面緘黙症

    家などでは普通に話すことができるのに、学校などの「特定の場面」で声を出すことができない状態が続くことです。

  19. 抜毛症

    抜毛症

    子どもに多く、自分で自分の毛髪を抜いてしまいます。

  20. チック症

    チック症

    子どもに多く、意図せずに声が出てしまったり、不規則な動きが出てしまう病気です。

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