主な疾患

注意欠如多動症(AD/HD)

AD/HD(注意欠如・多動症、Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)は、年齢につりあわず不注意(集中できない、忘れ物が多い、不注意な間違いが多い)、多動性・衝動性(落ち着きがなくじっとしていられない、我慢できない)が目立ち、それによって学校生活や友人との関係などに問題が生じている場合に疑われます。男児に多く、30人クラスに1~2人ぐらいの割合でいるといわれています。
基本的には育て方が原因ではなく、脳内の情報伝達物質(ドパミン)の作用が不足していることが原因だと考えられています。

また自閉スペクトラム症が疑われる方にはAD/HDの特性を併せ持つ方が多いといわれています。衝動性・多動性・不注意の典型的な特徴がみられなくても、お話を詳しく伺うとAD/HDの特徴がみられる方がいます。

子どもの場合、何か興味があると出し抜けに発言する、興味があると指示を待てずに実行しようとする等の多動性・衝動性の目立ったエピソードがみられることがよくあります。
大人の場合、こうした行動は適応能力の獲得や衝動性のコントロール、年齢による多動性の減少によって軽減され、不注意だけが残っている方が多いです。

 【当院の考え方】
これまでのご本人の困難さ、努力や苦労は相当なものがあったと推察いたします。皆と同じことを求められて周囲からの叱責を受け、自分自身で感じるできなさや劣等感に幾度となく直面してこられているでしょう。自己評価が下がり自信を失い、自分に合った学習方法や行動の獲得が困難になっている方も多いでしょう。たとえば、AD/HDのある方は、待つことができなくなっていき、社会的な場面で我慢できず、嫌いなことが増える悪循環に陥ることがあります。自己評価が下がると失敗することを恐れたり、うまくいった結果を想像できず、チャレンジすることを諦めてしまったり社会生活を送ることから距離を取ってしまう恐れがあります。

当院では、こうした個々の特性を詳細に検討し、治療や支援を行うことを大切にしています。患者さんが自分の人生を主体的に生きているという実感が持てるような生活の質の向上を切に願い、どうしたらよいかを一緒に考えさせていただきます。

まず、大事なのは、同じ診断名であっても一人ひとりが持っている特性は違うということです。ご本人の直面している困難を把握し、個別の対応を行う必要があります。ご本人の得意・苦手な点について、心理テスト等を通じて客観的に把握し、学習方法や対処方法を共に考えます。感覚の過敏さや集中力の維持困難などの問題には投薬が役立つ場合もあります。
 
また、これまで頑張ってきたご本人が、今後も何とかやっていけるように環境調整を行うことも大事です。同時に、待つと報酬があると期待できるようにする、できるところから少しずつ取り組めるようにするといった行動修正のための周囲からの継続的な働きかけも必要と考えております。

 【治療】
対処法は大きく分けて2つ、「心理社会的アプローチ」と「薬物療法」があります。薬物療法には、メチルフェニデート(コンサータ®)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ®:18歳未満で新規に処方可能)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン(インチュニブ®)の4種類の薬があり、いずれも脳内の伝達物質(ドパミン)を調整する作用があります。

コンサータ®、ビバンセ®は即効性があり、内服したその日から効果が現れますが、効果の持続時間は約12時間で、主に学校生活や仕事など日中に問題が多い場合に使用します。この薬が合う人の中には劇的に生活が楽になる人がいます。集中力や記憶力が改善(本来の力が発揮できるようになり)し、学習の理解が進み、成績も伸びて周りの評価も変わり本人が自信を取り戻して生き生きとし始めます。
 
アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン(インチュニブ®)は体重に応じて少量から開始し副作用がなければ治療効果が出るまでの量まで増量しますので、効果が出るのに時間がかかります。 

症状に応じた薬を選択していきます。一般に多動性・衝動性、不注意いずれも改善することが多く、症状が改善することで、心理社会的アプローチがより有効に働くようになることも期待できます。

主な疾患

  1. うつ病

    うつ病

    誰もが耳にしたことがあると思われる代表的な病気です。憂鬱な気持ちや意欲が出ないことが続いていませんか?

  2. 双極性障害(躁うつ病)

    双極性障害(躁うつ病)

    うつ状態だけでなく、極端に調子がよくなって活発な期間がある方は躁うつ病の可能性があります。うつ病とは治療が異なるので注意が必要です。

  3. 統合失調症

    統合失調症

    悪口を言われる、狙われているといった幻聴や妄想などを症状とする病気です。100人に1人くらいの割合でみられます。

  4. 認知症

    認知症

    物忘れ、新しいことが覚えられない、判断力の低下などにより日常生活に支障をきたす病気です。

  5. 適応障害

    適応障害

    強いストレスを受け続けると様々な心身の症状が出ることがあります。

  6. 自律神経失調症

    自律神経失調症

    自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)が不調をきたすことで様々な心身の症状が出ることがあります。

  7. 不眠症

    不眠症

    なかなか寝付けない、何度も目が覚めるなど睡眠の問題で苦しんでいませんか?

  8. パニック障害

    パニック障害

    場所と時間を選ばず、突然パニック発作が生じ、日常生活に支障をきたす病気です。

  9. 強迫性障害

    強迫性障害

    強迫観念と言われる強い不安感を打ち消すための行動により、日常生活に支障をきたす病気です。

  10. 身体表現性障害

    身体表現性障害

    いくら検査しても病気が見つからないにも関わらず身体症状が持続し、日常生活に支障をきたす病気です。

  11. 社交不安障害

    社交不安障害

    会議や発表など注目を浴びる場面の時に強い不安感や身体症状が出ることで日常生活に支障をきたす病気です。

  12. 神経発達症(発達障害)

    神経発達症(発達障害)

    「生まれもった脳の機能の偏りから生じる様々な特性(個性)により、日常生活に困りごとが生じている状態です。

  13. 知的能力障害群

    知的能力障害群

    知的能力と社会生活への適応機能の遅れがあり、日常生活に困難をきたします。

  14. コミュニケーション症群(吃音など)

    コミュニケーション症群(吃音など)

    自分の意志を伝えたり、相手の意志を伝えることが苦手で日常生活に支障をきたします。

  15. 自閉スペクトラム症 ASD

    自閉スペクトラム症 ASD

    臨機応変な対人関係や、自分の関心・やり方・ペースが崩れることが苦手な特性を持つ発達障害のひとつです。ごく軽度から重度まで特性の程度は様々です。

  16. 注意欠如多動症(AD/HD)

    注意欠如多動症(AD/HD)

    子供では多動や衝動性が目立ち、成人では不注意症状で困る方が多いです。発達障害のひとつで、近年注目度が増している病気です。

  17. 学習障害(限局性学習症)

    学習障害(限局性学習症)

    知能は正常にもかかわらず、特定の部分の学習が極端に苦手な特性をもつ発達障害のひとつです。知能が正常であるため気がつかれにくいようです。

  18. 運動症群

    運動症群

    運動や動作のぎこちなさ、姿勢の乱れから日常生活に支障をきたします。

  19. チック症

    チック症

    子どもに多く、意図せずに声が出てしまったり、不規則な動きが出てしまう病気です。

  20. 重ね着症候群

    重ね着症候群

    自閉スペクトラム症が基底障害にあり、二次障害として様々な症状や病気を生じている状態です。

  21. 分離不安

    分離不安

    母親などの愛着対象から離れることに対して、年齢と不相応に強烈な不安を感じる状態です。

  22. 場面緘黙症(社交不安症)

    場面緘黙症(社交不安症)

    家などでは普通に話すことができるのに、学校などの「特定の場面」で声を出すことができない状態が続くことです。

  23. 愛着障害

    愛着障害

    養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態です。

  24. 抜毛症

    抜毛症

    子どもに多く、自分で自分の毛髪を抜いてしまいます。

PAGE TOP